日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
ISSN-L : 2424-1946
第70回(2019)
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13 アダプテッド・スポーツ科学
13ア-12-口-18 先天性身体障害者のスポーツ参加と障害認識について
パラバドミントン競技者の事例から
*河西 正博
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p. 339_3

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抄録

 障害者のスポーツ社会化研究の多くは中途障害者が対象となっており、「健常者」であった人々が、障害受傷後どのようにスポーツに取り組むようになったのかということが主題となっている。先天性障害者を対象としたものとして堀(2017)が見られるが、包括的な研究は行われていない状況である。

 そこで本研究は、パラバドミントン競技者(A氏/先天性片上肢欠損)を対象としたインタビュー調査から、先天性障害者のスポーツ参加と障害認識の関係性について検討した。これまで健常者の中でバドミントンをしてきたA氏にとって、パラバドミントンは「障害があるからこそ行く世界」であり、これまでのスポーツ経験や就職等を含めて「障害の有無~関係なしに結果が出るというところにこだわって」きたことから葛藤が生じていた。これらのA氏の語りから見えてくるのは、スポーツが障害との関係において両義的なものとして享受されている点である。「スポーツをやっている時が一番(障害を)気にしていな」かった学生時代から、パラバドミントンとの出会いによって自身の「障害」と向き合わざるを得なくなり、A氏のスポーツの意味付けが変容しているものと考えられる。

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