日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第70回(2019)
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00 体育哲学
00哲-10-口-01 スポーツ世界における道徳法則の検討
カント哲学を中心として
*水島 徳彦阿部 悟郎
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p. 90_1

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抄録

 今日のスポーツ世界、とりわけ競技スポーツの世界では様々な道徳的問題が起こっている。それらの事象はたんにスポーツ行為者のみに起因する問題ではなく、商業主義や勝利至上主義に付随する便益や利得など、種々の媒介者を取り巻いて起こっているといえるだろう。これらの問題を経験的知見から実践的にのみ考察することは、多様化する今日のスポーツ世界において臨界点を迎えているといってもいいだろう。

 本研究では、スポーツ界における道徳的問題を、今一度、個別経験的な事象から、スポーツ世界における道徳法則の原理に立ち戻り、検討することを目的とする。原理的な道徳に関する形而上学的視点を、その射程に収め、カントの著作である『Grundlegung zur Metaphysik der Sitten 道徳形而上学の基礎づけ』を手がかりに考察していく。

 とりわけ、カントの道徳法則のうち、純粋実践理性のもたらす、行為の原理となる「定言命法」および、その「法則」に焦点を当てる。そして、経験的諸要素から離れた、内からの道徳法則について整理したうえで、スポーツ世界の道徳法則について検討するものである。

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© 2019 一般社団法人 日本体育学会
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