主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
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本研究は、個々人が生まれながらにもっている多様な身体に着目して、それを最大限に生かしたパフォーマンスを実施しようと試みるアスリートを対象として論じる。この意味で、研究の対象には障碍者アスリートが含まれることになる。特に、競技大会を観戦する人々は様々な身体をもつアスリートの姿に感動するというように表現されることがあるが、では、一体どのような「姿」から、あるいは「何」をアスリートに見出しているのかについての論拠を提示したい。
本研究の目的は、上記アスリートの身体的卓越性という観点から紐解き、アスリートという生の独自性あるいは特別性についての論拠を明らかにすることである。しばしば、アスリートは一般に到達不可能な次元まで競技水準を高め、観る側は自身とのその差異に、あるいは経験的に状況を把握するような感情移入が指摘されるが、本研究ではアスリート(人間)としての「機能・働き」を最大限に生かしているという点に着目する。そのための研究の方法は、アリストテレスの「エルゴン(機能・働き)」に関する議論を援用しながら議論を深めていく。