日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第72回(2022)
セッションID: 22-2111-13-03
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スポーツ文化研究部会【課題C】シンポジウム
空手の指導実践から考える身体文化の伝承・継承
*清水 由佳
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抄録

殺すための「武術」から、その修行の過程に価値を見出し、その精神性を解くようになって「武道」へと変貌を遂げた。空手も空手道へ。空手界(特に沖縄)では、「伝統空手は絶滅危惧種」であり、今流行っているのは「スポーツ空手である。」いうことを耳にする。しかし、時代の変化に柔軟に対応し、その時代の人々のニーズに寄り添い、人々の心の拠り所としてあったからこそ、空手道は途絶えず、今なお200年以上存在しているのだと思う私は、「昔は…今は…」と批判し、評論家になっている空手家に愚問を感じるところがある。

「伝統」というものには、必ずそのような問題定義がなされているのであろう。

ただ、無形文化である空手道においては「稽古」が全てであり、血統や組織の大きさや口だけでは「技」は語れない。そして、「終わりなき探究」であるからこそ競技生命に関わらず、生涯空手ができるのであり、その探究(研究)のバトンを次世代に渡し続けることそのものの行為を「伝承・継承」というのではないだろうか。

「歪み」かもしれないが、「進化・成長」なのかもしれない。

生身の人間が行う動作である以上、決して「型」にはめることはできない。

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