日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第73回(2023)
セッションID: 1a101-01-01
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基調講演
知育、徳育、そして今、体育を考える
*八田 英二
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抄録

同志社大学の式典では古代紫地に白の同志社徽章をあしらった社旗が掲揚されます。3つの正三角形からなる徽章は国を意味するアッシリア文字を図案化したもので、同志社英学校卒業生で、神学校教員を務めた詩人湯浅半月による考案です。3つの正三角形は知育、徳育、体育の三位一体を目指す本学の教育理念を象徴しています。一般に、知育は生きるために必要な考察力や判断力、行動力、問題解決能力といった知能を養うことを目的とする教育です。徳育は人間としての意識や道徳的な心情を養うための教育であり、本学ではキリスト教主義による人格形成を目指しています。最後に、体育は身体運動や保健学習を通して心身の健全な発達を促す教育であり、古代ローマの詩人ユウェナリスによる詩、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」に通ずるところがあります。このような三位一体の教育理念は新島襄がアーモスト大学で受けたリベラルアーツ教育により形成されました。J. D. デイヴィス宣教師は新島の教育観について「日本国の為に徳育、智育、体育の三者を兼備せる、有為の人物を薫陶養成し、健生なる品格と実力ある智識を供へたる是等有為の青年に依て日本の開明文化を確立」と記しています。新島襄が如何にして体育と出会い、如何に我が国の教育現場へ体育を普及させたのか、歴史を振り返りながらその理念を考察したいと思います。

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© 2023 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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