日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第73回(2023)
セッションID: 1a102-03-01
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本部企画シンポジウム1
スポーツの価値に基づく教育の推進にむけたスポーツ界の取り組み
JADAの取り組みを例に
*山本 真由美
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抄録

本発表では、全世界・全スポーツの統一のルールである「世界アンチ・ドーピング規程(以下、Code)」及びCodeに付随し義務事項である8つの国際基準における「教育に関する国際基準 (International Standard for Education: ISE) 」の国際的なルールを基にする。本発表では、主として以下を紹介する。

1)2021年版Code (以下、2021Code)及びISEの目的と概略

2)2021Code/ISEに準拠した日本での体制づくり

3)価値を基盤とした教育推進のねらい、今後の展望 

2003年版Codeが2004年アテネ・オリンピック直前に施行されてから、Codeはグローバルなスポーツやアンチ・ドーピング規則違反の状況等を鑑み、3回の改訂がされている。2003Codeから教育に関しては世界規程内に提示され、その重要性はアンチ・ドーピング機構(Anti-Doping Organization: ADO)が認識し実施してきたが、国際基準は存在しなかったことで、共通見解を得ることができなかった。国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が2007年2月1日に「スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約 (International Convention against Doping in Sport)」を発効し、Codeにおける政府の位置づけ、教育や研修に関する締約国の役割等を明確にした。

2021年1月に施行したISEでは、「教育 (Education)」を定義すると共に、ISEにおける固有の定義を明示、660以上のCodeの署名当事者(国際オリンピック委員会、国際競技連盟等含む)が共通の言語で教育を推進し、準拠すべき原則を提示した。教育とは、「スポーツの精神を育成し保護する価値観を浸透させ、かかる行為を発展させ、また、意図的及び意図的ではないドーピングを予防するための、学習の過程をいう」と定義し、価値を基盤とした教育、啓発、情報提供、アンチ・ドーピング教育といった教育の4要素を組み込んだ、教育プログラムを推進することを要請している。日本で2021Code/ISEの施行のため、「スポーツの精神を育成し保護する価値観を浸透させ」るための教育体制・プログラムづくりを紹介し、世界的にクリーンでフェアなスポーツ環境を守り創っていくための、価値を基盤とした教育の今後の方向性を紹介する。

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© 2023 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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