日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第73回(2023)
セッションID: 3a703-03-01
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体育史 口頭発表
白井規矩郎の幼小遊戯に関する考察
*朴 淳香
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抄録

白井規矩郎(1870-1951)は、明治期の近代教育草創期より唱歌と遊戯の研究を進め、著作を通して、また教師として実践を通して遊戯教材の提案を行い、大正期にかけて一貫して音楽と動きが調和した遊戯を探求した人物である。体育史における評価は、日本女子大学初代体育教師(1901-)として女子大学式表情体操を考案し、女子体育への貢献があげられる。当初、白井は文部省音楽取調掛として音楽の専門家として、音楽と動きが調和した女子に適した遊戯の探求を行っていた。

白井の業績は、明治21年から大正12年頃のもので、著書20数点、雑誌記事(『実験教授指針』『実験教育指針』)50点ほどが国立国会図書館、日本国内の大学図書館等の所蔵で確認できる。著作では、初期は音楽の専門家として唱歌に関するもの、保育遊戯に関するものを取り上げており、中期は尋常小学の女児と幼稚園に向けた内容のものから女子高等教育の者を対象とした内容のものとなっている。後期はリズム教育の著作がある。

白井が音楽の専門家から体育教師へと軸足を移す頃に書き表していた指導書には、共同的運動遊戯、静坐的遊戯、弄毬的遊戯、個人的運動遊戯、理化的遊戯、雑種遊戯と分類を提示しているように、唱歌遊戯にとどまらず、教育的な遊戯教材の提案を行っていることが確認できる。本報告では、唱歌遊戯にとどまらず、子どもにふさわしい遊戯をどのようにとらえていたのか、白井の幼小遊戯についての遊戯観を考察する。また、当時の幼稚園教育、尋常小学教育の動向との関連で、白井が提案し、実践した遊戯がどのように位置づけられるのかを検討したい。対象とする主な文献は、白井規矩郎編纂『新編小学遊戯全書』同文館東京(明治30年)、白井規矩郎編纂『幼稚園及小学校用新編遊戯と唱歌』増訂再版同文館(明治30年)、白井規矩郎『実験女子遊戯教授書』松邑三松堂東京(明治30年)である。

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