日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
経腸栄養の不足分はいつ静脈栄養で補足するべきか
神應 知道
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2015 年 30 巻 2 号 p. 669-673

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抄録
重症患者に対し,経腸栄養の不足分をいつから,どのような症例に開始すべきか,そして静脈栄養の組成はどのようにすべきかに関しては現状では不明である。近年報告された重症患者の栄養投与量を比較したRCTは4編あるが,研究結果は一定の方向を示せず確定的な推奨を提唱することは困難である。重要なことは,underfeeding,overfeedingを避け,個々の患者の状態に合わせ栄養投与内容を検討することである。4編のRCTの結果を踏まえ,ICU入室時に栄養不良を認めない例においては,経腸栄養投与エネルギー量が400~500kcal/日を満たしていれば1週間は静脈栄養を行わない。ICU入室時に栄養不良を認める例においては,入室数日以内に,refeeding症候群,高血糖に十分注意しながらブドウ糖,タンパク質,脂肪を使用した静脈栄養を開始することが望ましいと考えられる。
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© 2015 日本静脈経腸栄養学会
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