抄録
【目的】胃切除術は術後食生活に影響を及ぼすことは明らかであるにも関わらず、退院後は栄養指導が積極的に行えていないことが多い。今回我々は、退院後の食生活とダンピング症状に関する現状を把握するために実態調査を行った。【対象及び方法】胃切除後で化学療法を行っていない外来患者200名を対象に、食生活とダンピング症状に関するアンケート調査を行った。【結果】術後経過とともに食生活習慣は変化しているが、食事に対する不安は術後2年以上群の28%で認めた。ダンピング症状の理解度は次第に低下するが、全ての時期の50%以上でダンピング症状を経験し中でも術後2年以上群の22%で週に1~ 2回以上の高頻度に発症していた。【結論】患者の食生活に対する不安やダンピング症状の発生頻度を軽減するという長期的な QOLを向上するためには、周術期だけでなく退院後にも多職種による積極的な栄養サポートの必要性が示唆された。