抄録
新潟県病院薬剤師会に所属する病院・診療所の薬剤師に対し、経管栄養療法を施行中の患者に対する調剤・薬剤投与方法について実施状況等の調査を行った。回答施設の94%で経管栄養チューブからの投薬経験があり、その41%は粉砕調剤のみを行い、59%で簡易懸濁法が導入されていた。一方、経管栄養チューブからの投薬の把握は52%、チューブ留置位置の把握は18%に留り、患者情報を把握せずに調剤されていた。調査結果から、調剤前に患者情報を病棟スタッフ間と共有し、投与経路や薬剤特性に応じた調剤が必要であり、薬剤師が積極的に処方設計に関与することが重要であることが示された。薬剤サマリー等を活用して医薬品情報と患者情報を施設間で共有し、多職種連携による服薬支援体制の構築が必要であり、NST専門療法士の資格を有する薬剤師は経管栄養チューブからの薬物療法に限らず、総合的に服薬支援に取り組み、施設や地域において指導的な立場となることが責務であると考える。