日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
急性血液浄化中の栄養療法
中村 智之西田 修
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キーワード: 血液浄化, CRRT, 栄養
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2016 年 31 巻 3 号 p. 821-826

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抄録
血液浄化療法中は、拡散・濾過・吸着の3つの原理で、血液中の栄養素も除去される。その除去効率は、浄化量をはじめとする血液浄化療法の施行条件に依存するため、血液浄化療法の原理の正確な理解が非常に重要である。血液浄化療法中の栄養療法におけるエビデンスやガイドラインの多くは欧米から発信されたものであるが、本邦と欧米では血液浄化療法の浄化量は異なり、その解釈には注意を要す。本邦で一般的に行われている低い浄化効率の CRRT施行時には、クリアランスは透析液流量と濾過液流量に規定され、血液流量の影響は小さい。糖は、本邦 CRRTの施行条件では影響が小さく、通常の管理でよい。蛋白、水溶性ビタミン、微量元素、電解質は、血液浄化療法で除去されるため、適切なモニタリングと補充が必要である。脂質と脂溶性ビタミンは、血液浄化療法の影響を受けない。経静脈栄養は血液浄化療法と相性が悪く、可能であれば経腸栄養の選択が望ましい。
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© 2016 日本静脈経腸栄養学会
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