日本静脈経腸栄養学会雑誌
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症例報告
認知症周辺症状の増悪が疑われた術後数週目の急激な摂食拒否に対し、経皮的内視鏡的胃瘻造設術が有効であった1症例
田中 智大立石 和也門林 厚実山澤 義秀鳥山 公成田中 未来福家 由佳
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2016 年 31 巻 3 号 p. 849-852

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抄録

82歳男性。2014年4月歩行中に転倒、大腿骨頚部骨折の診断で入院し、入院5日目に人工骨頭置換術を施行した。術後経過良好であったが、入院4週目頃から突然の摂食拒否、加えて内服やリハビリにも拒否を示し、周囲に対する攻撃性も出現した。画像診断にて器質的な所見なく、認知症の既往があったことから、認知症周辺症状(behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)の増悪の可能性を疑った。末梢静脈栄養を併用したが、摂食量は改善せず、入院7週目に NST介入依頼。入院9週目に経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy;PEG)を行った。PEG施行以降、無理な摂食や多剤内服の必要性がなくなって攻撃性や危険行為を生じる機会が急激に減少した。終日の身体拘束も解除できてリハビリへの拒否行為も改善した。

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© 2016 日本静脈経腸栄養学会
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