2016 年 31 巻 4 号 p. 975-980
【目的】「あいーと®」は、食べる意欲を喚起するために開発された摂食回復支援食である。本研究では、顎矯正手術後の咀嚼障害を有する患者における「あいーと®」の臨床的有用性を検証した。【対象と方法】咀嚼障害の状態にある顎矯正手術後の27例を対象とし、「あいーと®」群 (A群) 12例と従来食 (粥、軟菜キザミ食) 群 (C群) 15例に分けた。各群に術後9食を提供し、「見た目」、「味」、「分量」、「食べやすさ」、「食事中の疼痛」、「食後の口腔内残渣」など9項目の Visual Analogue Scale (VAS) を用いたアンケート調査を1食ずつ行った。また、アンケートの結果と各栄養素の摂取量を2群間で比較した。【結果】A群の方が、「主食・副食の見た目」「主食の味と分量」「副食の食べやすさ」「食後の口腔内残渣」で高く評価され、エネルギーとたんぱく質が効率的に摂取できた。【結論】「あいーと®」は、顎矯正手術後の咀嚼障害を有する患者の摂食回復支援食として有用であることが示唆された。