抄録
【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術 (PEG) 症例における胃食道逆流の発生率と胃瘻からの造影検査 (胃瘻造影) の有用性について考察した。【対象と方法】2009年4月から2014年3月までに当院で PEGを行った216例である。PEG後、胃瘻より造影剤50mLを含む水250mLを注入し、透視にて食道への逆流の有無を観察した。【結果】胃瘻造影の結果、胃食道逆流は37例 (17.1%) に認めた。このうち6例は特に症状を認めなかった。胃瘻造影にて逆流を認めなかった179例 (82.9%) のうち、7例は胃食道逆流に伴う嘔吐や誤嚥性肺炎を認めた。栄養剤注入後、食道への逆流に伴う症状は17.6%に認めた。胃瘻造影の、栄養剤の胃食道逆流に伴う症状に対する感度は81.6%、特異度は96.6%であった。【結論】高齢者の PEG症例において、胃瘻造影は栄養剤の胃食道逆流に伴う症状に対する感度、特異度とも高く、胃食道逆流の予測において有用と考えた。