2016 年 31 巻 5 号 p. 1095-1098
私たちの身体には多数の常在菌が存在し、正常細菌フローラを形成している。このうち腸内フローラは生体機能に深く関与しており、宿主と共生しながら様々な生理作用を示すことが知られている。腸内フローラは疾病の発症にも関連があるとされており、その構成と機能が大きく注目されている。従来は培養法による解析が行われてきたが、近年のシークエンス技術の進歩により腸内フローラの全貌が解明されつつある。腸内フローラの解析は個人の健康指標ともなり得るといわれており、短腸症候群などの腸管不全患者における腸内フローラの構成は健常者と大きく異なると予想される。これらの患者において、腸内フローラを是正し、正常な腸内フローラを形成・維持することは腸管機能を最大限に発揮するために重要であると考える。