2016 年 31 巻 5 号 p. 1099-1104
ジアミンオキシダーゼ(以下、DAOと略)は、小腸の絨毛上部に活性が高く、小腸粘膜の増殖制御に関与している。小腸組織中の DAO活性と血中 DAO活性は有意に正の相関を示し、血中 DAO活性は小腸粘膜の integrityやmaturityの指標となることが報告されている。さらに、肝障害あるいは手術や化学療法などの腸管に対する侵襲や栄養管理によっても影響を受けるとされ、様々な状況下で検討がなされている。今回、昭和大学藤が丘病院救命救急センター入室患者を対象に検討を行った。その結果、長期の絶飲食や経腸栄養目標投与量まで長期間を要した症例、炎症反応が持続する症例では血中 DAO活性が低下した。また、グルタミンの経腸投与により血中 DAO活性の上昇がみられ、経腸栄養剤移行が順調であった。以上から血中 DAO活性の変化は腸管粘膜の萎縮を反映し、腸管粘膜の恒常性の評価を低侵襲で行う方法として血中 DAO活性の測定は有用である。