日本静脈経腸栄養学会雑誌
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症例報告
NST回診にて判明した ACTH単独欠損症の一例
大野 健次本田 圭山﨑 貴子見砂 知子松崎 律子皆川 明美松本 奈緒子横川 紗枝子小島 直子前 幸穂
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2016 年 31 巻 5 号 p. 1147-1149

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抄録

意識障害で発症し、低ナトリウム血症を契機として NSTが診断した ACTH単独欠損症の一例を経験した。症例は精神疾患のある60歳代男性で入院1か月前頃から食欲がなく20XX年 X月 X日散歩中に全身の脱力あり、当院に救急搬送された。入院後食事摂取不良が続き意識障害もすすみ嚥下障害も著明になったために、入院37日目に胃瘻造設となり入院48日目に NST介入した。介入時の血清ナトリウム濃度は116 mEq/Lと著明に低下していた。頻回の低血糖と低ナトリウム血症が持続していることACTH測定感度以下と低値であることからACTH単独欠損症を疑い介入翌日からコートリル® 10mgの投与を胃瘻から開始した。コートリル® 投与5日程度経過したところで覚醒度も改善し、食事も自力で摂取可能となり入院72日目には胃瘻を抜去することができた。

NSTにて低ナトリウム血症に遭遇することはたびたびあるがチームとして ACTH単独欠損症を鑑別診断として念頭においておくべきである。

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