2016 年 31 巻 6 号 p. 1249-1255
【目的】栄養療法開始後に薬剤師が患者の状態をモニタリングしていくためのチェックリストを作成し、その有用性を評価した。【対象及び方法】対象はチェックリスト導入前後それぞれ2年間の TPN患者とし、調査項目は五大栄養素、電解質異常、投与栄養量および処方提案件数とした。【結果】糖質、タンパク質およびビタミンについては導入前 (272名) および導入後 (254名) のすべての患者に投与されていた。電解質異常および投与栄養量に変化はみられなかったが、脂質および微量元素の投与割合は導入後にそれぞれ32.1%および28.4%有意に増加した。導入後の処方提案件数は1.6倍に増加し、提案の採択割合は20.4%有意に増加した。また、代謝性合併症に対する提案も可能となった。【結論】TPN処方チェックリストを用いた薬剤師による患者モニタリング業務は五大栄養素を充足させ、代謝性合併症に関する処方提案を可能とさせることが示された。