2017 年 32 巻 2 号 p. 939-941
超高齢化社会を迎え、一般病院でよく経験する患者さんの状況として、75歳以上の高齢者が多く、身体活動が活発でないことが多い、栄養状態低下からくる気力・体力低下あり、食事内容も柔らかいものが多い、多種類の西洋内服薬の影響で消化管運動低下傾向、などが挙げられる。このような状況下で、食べられない、水分摂取も不十分、カラカラに乾いた兎糞状の便を少量やっと出す、といったことが日常よく生じている。実際、病院内のNSTでも、1)慢性下痢、2)慢性便秘、3)食欲不振、4)胃食道逆流症、5)嚥下障害、6)口内炎、7)味覚異常、8)全身倦怠、などの症状がよく認められるところである。個々の臓器の器質的異常に対して対処する西洋医学とは異なる個別対応が必要とされる昨今、栄養状態の改善こそ重要な命題であり漢方医学の出番であると考えられる。本稿では実際にNSTでよく経験する消化器関連症状について臨床栄養と漢方の観点から述べたい。