2017 年 32 巻 2 号 p. 988-991
【目的】ペクチン含有濃厚流動食の下痢改善効果に対する胃酸分泌抑制薬併用の影響を検討する。【対象及び方法】調査期間は2014年4月から2015年5月で、経管経腸栄養を行っている入院患者で水様便があり、経腸栄養剤をペクチン含有濃厚流動食に変更した16例を対象とした。変更前後での便性状や便回数を、電子カルテを用いて後方視的に調査した。対象患者を胃酸分泌抑制薬内服群(9例)と非内服群(7例)にわけて、各項目について比較検討した。【結果】16例のうち12例で変更後7日目の水様便が改善していた。内服群での改善率は77.8%、非内服群では71.4%で、2群間で差を認めなかった。栄養剤の変更後に便秘となり、下剤使用または摘便をうけた患者が16例中3例あったが2群間に差はなかった。栄養剤変更の前後で、便回数に有意な変化は認めなかった。【結論】胃酸分泌抑制薬併用の有無は、ペクチン含有濃厚流動食の下痢改善効果に影響しなかった。