2017 年 32 巻 2 号 p. 992-994
症例は88歳,女性.癒着性腸閉塞にて入院し,保存的加療で改善するも,嚥下機能が低下したため,経皮内視鏡的胃瘻造設術を施行した.逆流性食道炎による食道狭窄を認め,経鼻内視鏡を使用し,Direct法で胃瘻造設術(20Fr,バンパーボタン型)を行った.その後半年おきに胃瘻カテーテル(以下,カテと略)の交換を行っていたところ,瘻孔拡大を認め,24Frバンパーボタン型胃瘻カテに変更した.今回胃瘻カテが胃内に脱落し受診となった.経鼻内視鏡を経口的に挿入し,胃瘻カテ抜去を試みたが,食道の狭窄が強く,摘出は困難であった.このため経瘻孔的に摘出を試みた.内視鏡の送気が漏れないように,尿道バルーンを瘻孔から挿入し,また瘻孔周囲を胃壁固定具で固定して瘻孔の安定化を図った後,ボタン型胃瘻カテを瘻孔直下に誘導し,瘻孔部より愛護的にペアン鉗子を挿入,把持して摘出した.脱落したボタン型胃瘻カテを経瘻孔的に摘出した症例は稀であり,瘻孔を壊さず安全に胃瘻カテを摘出し得たので報告する.