2017 年 32 巻 3 号 p. 1142-1147
在宅医療では、血液検査、画像検査などを行う機会が少なく、病院内の栄養管理と比べて情報量が著しく少ない。身体計測のフィジカルアセスメントを行い、患者の栄養状態を評価することで、必要な栄養ケアへ繋げることが可能となる。栄養士にとっては直接患者に触れ、患者の非言語的コミュニケーションの観察やラポール形成のきっかけにもなり得る。また身体計測のフィジカルアセスメントに、測定中のコミュニケーションを加えたヘルスケアアセスメントにより、栄養管理上の問題をより明確にすることも可能となる。
提示症例では、体重推移を患者と共有することで、食事内容や量、回数の調整を行い、栄養ケアのモニタリング指標として活用することができた。実際に患者の身体に触れながら、栄養状態の把握や異常の早期発見を行う身体計測のフィジカルアセスメントは、栄養士が主体的に行うことができ、在宅での適切な栄養管理に必須である。