日本静脈経腸栄養学会雑誌
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Print ISSN : 2189-0161
32 巻 , 3 号
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特集
  • 三宅 哲
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1121-1123
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    口腔は消化管の最初の入口であり、食物を取り込み咀嚼し食塊を形成する。そしてその食塊を咽頭へ送り込んで嚥下する。また、口腔は空気の通り道として呼吸にもかかわっている。その口腔の評価をすることは重要であるが、栄養管理をする多職種の方々には見落とされがちである。近年、1999年米山らからLANCETに、口腔ケアが誤嚥性肺炎減少につながるという報告1) がなされ、日本の看護のなかで口腔ケアが標準化され、注目されるようになった。しかし、煩雑な看護業務のなかで、看護師だけが口腔ケアをおこなうのではなく、少なくても多職種で活動するNutritional Support Team (NST) のメンバーは口腔内の評価だけでもおこなってもらいたい。口腔ケアをおこなっている施設でも、口腔内の評価をしているかどうかは現場によって温度差があるように思える。

    口腔内の評価をおこなったうえで、器質的口腔ケア (機械的ブラッシングを中心に細菌数を減らすケア) 、機能的口腔ケア (嚥下リハビリテーションの一環として口腔機能の改善) をおこなうことは重要である。

  • 症例を通して
    飯田 貴俊
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1124-1125
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    在宅栄養管理の臨床現場で必要な情報収集のためのフィジカルアセスメントの一つに、口腔内の評価がある。今回はその評価方法と意義について、症例を通して解説する。口腔内の評価はまず大きく器質的評価と機能的評価に分けられる。器質的評価とは、具体的には歯があるかどうか、口腔がん後等で舌を切除して皮弁になっていないか、等がある。一見して判断できる部分である。機能的評価とは舌、頬粘膜、口唇、軟口蓋などの口腔軟組織に運動性・感覚性の麻痺や著しい筋力低下がないか、唾液分泌は十分か、等がある。一見しただけではわからず、舌をださせたり、実際に動かさないとわからない場合が多い。器質的な問題と機能的な問題は相互に関係しており、器質的な問題が原因となって機能的な問題が生じている場合や、その逆もあり、はっきり切り離せるものではないが、評価の際にはしっかりと分別して診ることが重要である。

  • 谷口 英喜
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1126-1130
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    在宅栄養管理においては、高齢者の体液についての特徴を理解して適切な体液状態の評価が望まれる。特に、高齢者では脱水症を呈しやすいために、早期に脱水症が診断され迅速かつ適切な対応が求められる。体液状態をみるにあたり、採血や器具を用いた診断は在宅管理には適していないためにフィジカルアセスメントによる診断が望まれる。アセスメント項目としては、触診による四肢末梢の冷感、口腔内の乾燥、爪毛細血管の再充血時間の遅延、皮膚の張り (ツルゴール) の低下、腋窩の乾燥などが高齢者における脱水症の所見として知られている。在宅栄養管理の担当者は、これらの所見を定期的に観察し在宅栄養管理の質の向上を目指して欲しい。

  • 阿部 咲子
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1131-1133
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    高齢者は加齢による生理学的な変化に伴い水分保持能力や食欲の低下、口渇中枢機能や腎臓での濃縮能力の低下などから季節に関わらず脱水症を呈する危険性がある。1年を通じた水分管理が必要であり、特に食事からの水分と電解質の摂取が大きな比重を占めている。また、フレイルやサルコペニア、認知症を有する高齢者の多くは脱水症のリスクを伴っている。しかし、自覚症状が乏しく、自ら訴えることが難しいような方が多い。周囲にいる職員などが些細な変化を察知し、脱水症の重度化を予防する必要がある。高齢者へ容易に活用できるフィジカルアセスメントは大切であり、体調管理の一環として取り入れている。

  • 牛込 恵子
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1134-1136
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    急性期病院では、術後患者の水分管理は輸液で実施される。しかし、術前からの輸液管理は、術後患者の回復度を阻害する1つの要因となることが明らかとされている。手術患者の高齢化に伴い、術前の水電解質管理が重要視されるようになった。本稿では、当院で経験した高齢者の事例を挙げ、術前の水電解質管理の方法や、評価方法、具体的なアセスメント方法を提示し、水電解質管理へのポイントを整理するとともに、管理栄養士の強みであるフィジカルアセスメントの評価をどのように行っていくのかを概説する。

  • 望月 弘彦
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1137-1141
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    身体計測は簡便で非侵襲的かつ経済的であるため、在宅における栄養評価に適している。身長と体重の測定が基本となるが、立位が取れない場合には工夫が必要となり、他の指標を用いた推定式が用いられることがある。脂肪量の推定にはTSFやSSF、脂肪量+筋肉量の推定にはAC、筋肉量の推定にはAMCやAMA、CCが用いられる。CCはBMIとの相関が認められており、BMIが不明な場合は代わりにCCを用いている栄養スクリーニングツールもある。握力は筋組織を機能的に評価しており、最近ではサルコペニアの診断基準の一つとして注目されている。

  • 髙﨑 美幸
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1142-1147
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    在宅医療では、血液検査、画像検査などを行う機会が少なく、病院内の栄養管理と比べて情報量が著しく少ない。身体計測のフィジカルアセスメントを行い、患者の栄養状態を評価することで、必要な栄養ケアへ繋げることが可能となる。栄養士にとっては直接患者に触れ、患者の非言語的コミュニケーションの観察やラポール形成のきっかけにもなり得る。また身体計測のフィジカルアセスメントに、測定中のコミュニケーションを加えたヘルスケアアセスメントにより、栄養管理上の問題をより明確にすることも可能となる。

    提示症例では、体重推移を患者と共有することで、食事内容や量、回数の調整を行い、栄養ケアのモニタリング指標として活用することができた。実際に患者の身体に触れながら、栄養状態の把握や異常の早期発見を行う身体計測のフィジカルアセスメントは、栄養士が主体的に行うことができ、在宅での適切な栄養管理に必須である。

原著
  • 海堀 昌樹, 吉井 健悟
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1148-1153
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】本邦で使用されている主要ニードルレスコネクタ三方活栓は数種類が存在する。今回我々は各種ニードルレスコネクタ三方活栓に対する挿入抵抗を中心に、その有用性に関して比較検討を行った。【対象及び方法】評価対象は本邦で臨床使用されている6製品 (製品A~F) とした。ニードルレス部タイプがスプリットセプタム4種類およびメカニカルバルブ2種類、またゴム弁材質がイソプレンゴム2種類およびシリコンゴムが4種類であった。これらニードルレスコネクタに対するシリンジ挿入抵抗および挿入エネルギーを測定した。またニードルレスコネクタに対するシリンジ接続部耐圧試験を行った。【結果】スプリットセプタムおよびイソプレンゴムである製品Aの挿入抵抗および挿入エネルギーはそれぞれ1182±21、5158±126 gf・mmであり、他5種と比較し、有意に低値を示した。ニードルレスコネクタに対するシリンジ接続部耐圧試験では全種類とも目標最大注入圧以上の接続部耐圧を示した。【結論】シリンジ挿入部のゴム弁材質がイソプレン、またニードルレス部がスプリットセプタムであり、クリック強度を有する製品Aが最も挿入抵抗および挿入エネルギーが低く、臨床使用において扱いやすい可能性が示唆された。

  • 古川 健司, 重松 恭祐, 岩瀬 芳江, 三上 和歌子, 星 博子, 山本 淳子, 大塚 藍, 阿部 宏子
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1154-1161
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】がんは糖質の取り込みが多いことに注目し、糖質制限の厳しいケトン食を用いて、化学療法併用による臨床での安全性と効果を調べた。【方法】当院の倫理委員会の承認の元、ステージⅣの大腸がん、乳がん患者に対し、ケトン比1.5~1:1の修正MCTケトン食を3カ月摂取し、代謝、栄養状態、QOL、臨床効果を調べた。【結果】9名を対象に検討を行い、非糖尿病患者では、ケトン食によりケトーシスにはなったが、尿中排泄によりアシドーシスは軽度であった。-5.4%の体重の有意な減少を伴ったが、肝・腎機能は保たれ、抗がん剤併用でもQOLを下げず、奏効率67%、病態コントロール率78%で、がんの縮小は、血中総ケトン体値とQOLスコアに相関関係が示唆された。【結論】修正MCTケトン食は、抗がん剤併用でも、3カ月の短期間ではあるが、進行がん患者にも安全な食事療法であり、がんの縮小も血中ケトン体値とQOLスコアに相関が示唆された。

  • 西本 裕紀子, 惠谷 ゆり, 麻原 明美, 加嶋 倫子, 清水 義之, 曺 英樹, 位田 忍, 川原 央好
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1162-1167
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】脳性麻痺児の安静時エネルギー消費量 (以下、REEと略) と体格との関連について検討する。【対象及び方法】脳性麻痺児46例[中央値8 (1~17) 歳]のBMIと実測REE/kgの同年齢同性の基準値との比 (BMI基準値比、REE/kg基準値比) を後方視的に検討した。脳性麻痺児21例[中央値6 (2~17) 歳]において実投与熱量REE比と⊿身長Z-Score及び⊿体重Z-Scoreとの相関を検討した。【結果】加齢とともにBMI基準値比は低下し、BMI基準値比とREE/kg基準値比は負の相関を示した。投与熱量REE比と身長、体重のZ-Scoreの変化率に正の相関が認められ、身長と体重の⊿ Z-Score/月が0となる投与熱量REE比は相関式から1.18と1.08と算出された。【結論】脳性麻痺児は加齢とともに痩せが進行し、痩せた児のREE (kcal/kg) は基準値より高かった。脳性麻痺児の身長と体重のZ-Scoreを維持するためにREEの約1.1~1.2倍の熱量投与で栄養管理を開始することが適切と考えられた。

  • 伊沢 由紀子, 井田 智, 川名 加織, 中濱 孝志, 望月 宏美, 縄野 一美, 速水 克, 熊谷 厚志, 峯 真司, 比企 直樹
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1168-1173
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】がん化学療法中の約6割に味覚異常が生じるとされるが味覚異常を客観的に評価した報告は乏しい。そこで化学療法中の味覚の経時的変化を、味覚検査用試薬と食事アンケートにて評価した。【対象および方法】2014年1月から2015年10月まで、がん研有明病院にてCyclophosphamide、Hydroxydaunorubicin、Oncovin®-vincristine、Prednisolone (以下、CHOPと略) 療法とRituximab (以下、Rと略)-CHOP療法を施行した悪性リンパ腫の患者45名にテーストディスク®を用いて3味質 (甘味、塩味、苦味) の味覚テストと食事アンケート調査を行った。【結果】塩味は、1コース後に11名 (25%) 、3コース投与直前に13名 (33.3%) 、6コース投与直前に14名 (35.9%) の患者で異常を示し、治療を重ねるごとに有意に鈍化した (p<0.05) 。その他の味質では有意な変化は認めなかった。アンケート調査でも塩味に関する味覚の変化を感じる患者が治療継続に伴い増加した。【結論】化学療法中には塩味の認知閾値が有意に低下し、次第に塩味の強い食事を求める傾向にあった。

臨床経験
  • 鈴木 伸康, 神崎 憲雄, 滝田 貴義, 佐々木 絵理子, 浜尾 理沙, 橋本 知美, 渡辺 香織里, 森 隆志, 佐藤 直
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1174-1177
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】福島県における震災下での栄養管理、NST活動について、県内の医療機関にアンケート調査し、問題点を検討した。【対象および方法】福島県内の施設での震災下における施設の被害状況、食事の備蓄、経腸栄養、静脈栄養、NST活動状況を調査した。【結果】施設被害は67%で、断水が多く水の確保が重要であった。食料はほぼすべての施設で入院患者の6食分以上の備蓄をしていた。経腸栄養剤の備蓄率は40%足らずで、避難患者を受け入れた施設での不足が目立った。輸液の不足は29%であった。震災直後からNST活動が継続できていた施設は25%であったが、4月末までに95%が活動を再開した。【結論】震災により食料、経腸栄養剤、輸液製剤が不足した。さらに放射能被害から人材不足となりNST活動は困難であったが早期再開し得た。震災時は自施設だけでなく、他施設や行政、栄養関係団体も含めた全国規模での情報共有、物資供給、支援活動のネットワークが必要である。

  • 風間 義弘, 山邊 志都子, 石川 史明, 石田 耕太, 清水 里紗, 三嶋 明子, 桑原 麻樹, 菅野 恵子, 水野 文夫, 酒井 敬介
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1178-1181
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の安全性について造設法も考慮した具体的な報告はあまり認めない。今回当院にて施行されたPEG257例の早期合併症について検討した。Pull法は173例、Introducer変法は84例。Pull法の合併症は、胃瘻周囲腹膜炎1例、造設直後の死亡が1例。Introducer変法の合併症は、出血2例、胃壁損傷が1例、気腹によるショック1例、脳室腹腔シャント誤穿刺1例。Pull法の合併症は2例、Introducer変法の合併症は5例であり、Introducer変法の方が有意に合併症が多かった(p=0.026)。Introducer変法は、全身状態に影響を与え処置・治療を有する合併症が多いため適応を選ぶ必要があると考えられた。

  • 松永 全弘, 勢納 八郎
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1182-1184
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    バルプロ酸ナトリウム投与下の在宅経管経腸栄養管理高齢患者3名に対して血清カルニチン濃度測定を行いカルニチン欠乏症の有無を後向きに検討した。カルニチン欠乏症が認められた場合カルニチン補充療法を行った。今回調査した3例ではカルニチン欠乏症を呈した。カルニチン分画における遊離カルニチンは18.4±1.8μ mol/Lであり基準値 (36μ mol/L) を下回っていた。血液生化学検査ではアルブミン、ナトリウム、貧血マーカーの異常が認められた。カルニチン補充療法としてレボカルニチン塩化物0.3g/日の経管投与を行い遊離カルニチンは53.3±1.6μ mol/Lへ改善した。結論、バルプロ酸ナトリウム投与下の在宅経管経腸栄養管理高齢患者の今回調査した3例にカルニチン欠乏症を呈した。レボカルニチン塩化物0.3g/日の経管投与で遊離カルニチンの基準値内への改善が認められた。バルプロ酸ナトリウム投与下の在宅経管経腸栄養管理高齢患者へのカルニチン濃度測定が有用である事が示唆される。

症例報告
  • 広瀬 由紀, 山本 康太, 里見 聡子, 白塚 秀之, 川上 義行, 吉村 はる美, 青山 涼一, 刀根 由美子, 布谷 喜代美
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1185-1187
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    長期投与されたランソプラゾールの中止により難治性の下痢が改善したと思われる症例を報告する。症例は78歳の男性で、慢性心不全にて入院中、脳梗塞を発症した。経管栄養を施行していたが嘔吐と下痢が続き、また誤嚥性肺炎も繰り返した。経管栄養を中止して、完全静脈栄養による栄養管理を行った。栄養サポートチームが介入し、ランソプラゾールを中止した。大腸内視鏡検査とその際施行された生検によりCollagenous Colitisと診断され、臨床経過から難治性の下痢はランソプラゾールによる薬剤性下痢であったと推測された。下痢の改善と共に、栄養状態も改善し経口摂取も可能となった。高齢者が増えた現在、多くの疾患を抱え、多くの薬を服用している。一方で薬剤が原因とされる慢性下痢症でCollagenous Colitisの増加が報告されている。難治性の下痢が見られたとき本症を念頭におくことが重要である。

  • 島田 拓, 平間 公昭, 横山 昌樹
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1188-1190
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    経皮内視鏡的胃瘻造設術 (以下、PEGと略) は長期にわたり経腸栄養を必要とする症例に対して広く普及しているが、様々な合併症が存在する。症例は80歳の女性で、認知症のため寝たきりとなり、誤嚥性肺炎を繰り返すため約2年前に胃瘻を造設された。徐々に瘻孔が拡大して胃内容液の漏出を認めるようになり、単純縫縮やパウチング、陰圧療法などを試みたが改善せず、胃瘻周囲炎のケアに難渋していた。本症例に対し皮下トンネルを用いた瘻孔変更術を施行し、胃瘻周囲炎の治癒のみならず経腸栄養も再開することができた。PEGの後期合併症のうち胃内容漏出および難治性瘻孔周囲炎は頻度の高い合併症であるが、その対応には難渋する場合が多い。比較的低侵襲ながら極めて有効な方法と考えられたので、文献的考察を加えて報告する。

施設近況報告
  • 藤本 裕子, 永野 伸郎, 磯田 紀子, 柴山 みどり, 西山 節子, 茂木 みさ子, 大澤 清孝
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1191-1194
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    NST活動の定量化および介入効果の検証を目的に、2014年度にNST介入した279人の患者データを解析した。介入期間の中央値は20日間であり、入院期間の60.0%を占めた。所属診療科では、内科、外科、整形外科の順に、また主病名は、肺炎・呼吸器系疾患、敗血症、心・循環器系疾患の順に多かった。栄養ルートを介入前後で比較したところ、介入終了時には経口経腸ルートが増加し、経静脈ルートが減少した。介入患者の死亡率は11.8%であり、死亡群は生存群よりも介入時のBMI、Alb、プレアルブミン、リンパ球数が低値であり、BUN、CRPが高値であった。多変量解析の結果、死亡と関連する独立因子として介入時のリンパ球数が選択された。NST介入により、褥瘡に改善は認められなかったものの、総タンパク、Alb、プレアルブミン、リンパ球数、日常生活動作スコアの上昇ならびにクレアチニン、CRP、白血球数の低下が認められた。以上の結果より、NST介入の効果が改めて実証された。

  • 畑 五月, 池永 誠, 髙田 哲秀, 宮永 美佐子, 宮原 陽子, 野本 亜希子, 鰐渕 康一郎, 渡邉 大樹, 桒原 慶太, 植松 崇之
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1195-1198
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    当院では、感染制御とリスクマネジメントの観点から、開院当初より経腸栄養剤の調製・分注を含めた管理を栄養科が行ってきた。これに加え、2013年に発生したClostridium difficile関連下痢症の病棟内感染を契機に、経腸栄養投与ボトルの洗浄、経腸栄養剤の調製および分注を含めた一括管理を栄養科で行っている。ボトル一括管理実施前1年間と管理実施後1年間において、経腸栄養剤投与患者の排便状況を比較したところ、下痢患者数が有意に減少した。この結果には、栄養科でのボトル一括管理の実施による経腸栄養投与ボトルの衛生状態の改善や、医療スタッフと共同でマニュアルを作成するなどの取り組みにより、排便管理に対する医療スタッフの意識が変化したことなどの要因が寄与したものと考えられる。

  • 樋口 眞宏, 八木 聖子, 長野 由紀子, 小原 史織, 仁田 美由希, 八田 理絵, 野村 一之, 山田 圭子, 豊田 義貞, 荒金 英樹
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1199-1202
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    超高齢化社会の到来に伴い在宅医療の重要性が高まっている。在宅医療の推進には多職種連携が必要であるが、ケアマネジャーがケアプランを作成する際に各種専門職を確保する相談窓口がない等の問題があった。そこで京都市山科区では各種職能団体が協力し「山科地域ケア愛ステーション」を設立した。ケアマネジャーの相談に対して愛ステーションが情報を仲介し、各職能団体が専門職を紹介し、薬剤師等のメディカルスタッフが地域で円滑に活動できる体制を構築した。訪問薬剤師の業務内容を地域へ啓蒙し、病院薬剤師とHPN、HEN等の統一マニュアルを作成し、病院を含めた地域の医療・介護施設で手技が統一された。これらを用いることで病院薬剤師から訪問薬剤師へ効率良く情報が共有され、シームレスな在宅医療への移行が可能となった。この様な地域での薬剤師等のメディカルスタッフの活動を支援する体制の整備は、更なる地域医療の推進に繋がると考えられる。

研究報告
  • 石川 達也, 犬飼 道雄, 森元 真理江, 田中 真紀, 藤田 久美子, 西山 武, 西山 剛史, 梶谷 伸顕
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1203-1206
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】高負荷運動療法施行が困難である超高齢者のサルコペニアに対して、栄養療法+低負荷運動療法を行い、プロトコールの安全性と身体に与える影響について検討した。【対象及び方法】栄養状態良好でサルコペニアと診断された76名のうち、高負荷運動療法施行が困難と判断し、栄養療法+低負荷運動療法を実施した23名を後方視的に検討した。週3回3か月間栄養療法+低負荷運動療法を行い、栄養状態や身体能力の評価を行った。【結果】完遂率91.3%、運動療法中断率5.2%、運動療法後栄養療法不能例はなかった。歩行速度、Timed Up and Go (TUG) 、Short PhysicalPerformance Battery (SPPB) で有意に改善した。【結論】栄養療法+低負荷運動療法は安全に行えたが、効果は限定的であった。

  • 千葉 正博, 土岐 彰, 杉山 彰英, 菅野 丈夫, 佐藤 千秋, 十良澤 勝雄, 八木 仁史, 添野 民江
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1207-1210
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】脂肪吸収障害が顕著な短腸症候群患児の2例で、経口用ω3系油脂高含有製剤の効果を検討した。【方法】残存小腸27cmおよび18cmで、現在も経静脈栄養投与併用中の短腸症候群症例に対して、経口用ω3系油脂高含有製剤投与後の便中脂肪染色、血清脂肪酸分画の変化を検討した。【結果】脂肪乳剤を0.2~0.3g/kg/dayの経口・経腸投与開始後も、便中脂肪染色は陰性であった。血清脂肪酸分析では、投与前はω3脂肪酸分画は低値であったが、投与後2週間で改善した。【考察】以前のω3系脂肪酸含有経腸栄養剤投与での検討では、血清脂肪酸分析が改善するためにはω3系脂肪酸投与量として0.4~0.5g/kg/day以上の投与が1ヶ月以上必要であった。今回使用した経口用ω3系油脂高含有製剤は、経口・経腸投与でも吸収効率の高い製剤であり、遠位小腸がほとんど残存していない短腸症例においても有用であった。

  • 松本 卓二, 木村 友香子
    2017 年 32 巻 3 号 p. 1211-1214
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/25
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究では、大腿骨近位部骨折患者において、リハビリテーション後に投与する栄養補助食品の効果の比較検討を行った。【対象と方法】大腿骨近位部骨折患者67例を対象とした (栄養補助食品群26例、オレンジジュース群41例) 。栄養補助食品群にビタミンD12.5μ g、BCAA2500mgを含んだ栄養補助食品をリハビリテーション後に投与した。アルブミン、末梢血リンパ球数、総コレステロール値から求めたタンパク代謝、免疫能、脂質代謝の指標であるCONUT値を栄養評価指標とし、入院時、手術1週後、4週後に比較検討を行った。【結果】CONUT値はオレンジジュース群では有意差を認めなかったが (入院時3.3、1週間5.4、4週間4.5) 、栄養補助食品群では入院後1週で悪化した値が、4週目では有意差をもって改善していることが確認された (入院時3.8、1週間5.7、4週間3.7、p<0.05) . 【結論】以上の結果から、ビタミンD、BCAAの強化に加え、カルシウム、脂質、炭水化物、微量元素等を含んだ栄養補助食品の投与は、手術的侵襲にて栄養状態が悪化する大腿骨近位部骨折患者に対して、栄養状態を改善することが確認された。

日本静脈経腸栄養学会認定地方研究会
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