2018 年 33 巻 1 号 p. 595-601
液体の形態で投与されていた経腸栄養において、半固形栄養材の臨床的有用性が認知され、様々な栄養材が普及してきた。しかし、現状には質的管理に関し課題がある。粘度は最も汎用される物性指標だが、数値だけの比較は危険である。臨床に即したずり速度下での測定を要するが、その条件は不明なままである。ずり速度は測定時のローター回転数に相当し、回転数により数値は大きく変わる。消化管流動を加味し物性を適切に評価できる手法や表示方法の検討が必要である。また測定が構造破壊しつつ進むため、もとの構造や物性への回復度も、投与操作を考慮すると参考にすべきである。粘度以外には工業界での製品管理に動的粘弾性が利用されており、半固形の評価に利用できる可能性がある。そして、物性だけでなく、栄養法として栄養素が吸収されることも確認しなければならない。半固形栄養はまだ発展過程にあり、検証と科学的評価による標準化が求められている。