日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
とろみ材等による形状変化を含む半固形経腸栄養法による薬剤吸収への影響
名徳 倫明
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キーワード: 相互作用, 吸着, 溶出
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2018 年 33 巻 1 号 p. 625-632

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抄録

経腸栄養剤施用患者の薬剤投与の実態とin vitro及びin vivoでの食物繊維またはとろみ材が及ぼす薬剤吸収への影響について検討した。経腸栄養剤施用患者への薬剤投与実態に関する現状調査を行った結果、経腸栄養剤施用患者での内用薬の用法指示に対する投与タイミングは大半が指示通りであったが、異なった投与タイミングもみられた。in vitro実験において、食物繊維またはとろみ材を使用したとろみ水に混和した薬剤で、薬剤の溶出遅延がみられた。また、食物繊維やとろみ材を用いた低粘度で調整した溶液において、薬剤の吸着がみられた。さらにin vivoにおいてもカルバマセピンの血中濃度-時間曲線下面積(AUC)がグアガム、キサンタンガムと同時投与にて有意に低下した。このようにとろみを含む半固形化経腸栄養剤は薬剤の吸収への影響が想定される。そのため、とろみ材等による形状変化を含む半固形経腸栄養剤施用患者に薬剤を投与する場合には、それぞれの薬剤に対して投与タイミングを考慮する必要がある。

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© 2018 日本静脈経腸栄養学会
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