2018 年 33 巻 1 号 p. 641-646
【目的】膵頭十二指腸切除術における術前の栄養状態が、手術部位感染、膵液瘻、術後合併症の発生に関係するかを明らかにする。【対象及び方法】当科にて膵頭十二指腸切除術を施行した症例に対し、術前のControlling nutritional status(CONUT)法による栄養評価と、手術部位感染、膵液瘻、Clavien-Dindo分類による術後合併症との関係について解析を行った。【結果】栄養評価を行った374例中、正常栄養群は133例、軽度障害群は192例、中等度障害群は49例認めた。手術部位感染、膵液瘻、Clavien-Dindo分類による術後合併症の発生と、栄養障害の程度に直接的な有意な関係は認めなかった。膵硬度で層別化したところ、膵液瘻の少ない硬化膵においては、術後合併症は栄養障害群で有意に多く認めた(p=0.02)。また全症例から術後膵液瘻発生症例を除いた症例においても術後合併症は栄養障害群で多かった(p=0.02)。【結論】膵液瘻の影響が少ない症例において、術前の栄養障害は術後合併症の発生と関係した。術前の栄養評価および介入は、術後合併症を減らす可能性が示唆された。