2018 年 33 巻 4 号 p. 991-994
がんに対する化学療法の進歩は目覚ましい。しかし、いくら有望な治療法であっても予定された治療を十分に行うことができなければ、その効力は減弱する。様々ながん腫において、化学療法前および化学療法中の栄養状態が、治療に対する抵抗性や有害事象の発生率、さらに腫瘍学的な予後に関連するという報告がある。がん化学療法の安全性と継続性を確保し、がんの予後改善という最終目標を達成するために、患者自身の栄養状態を改善、維持することは極めて重要である。そのためには、患者の栄養状態の把握とそれに基づいた栄養介入が必要である。化学療法中の栄養介入とひとことで言っても、化学療法には術前・術後補助・進行再発に対する化学療法など、その対象患者や病態は多岐にわたる。したがって、食事の工夫や経口栄養補助食品の併用、経管栄養の使用など、投与する栄養の内容と投与経路を選択し、治療経過に応じた細やかな介入が必要である。