日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
腸内細菌叢とdysbiosis
馬場 重樹佐々木 雅也安藤 朗
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2018 年 33 巻 5 号 p. 1099-1104

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抄録

ヒトは腸内細菌叢と共生している。腸内細菌叢は宿主であるヒトの栄養代謝、防御機構、免疫機構の発達に大きく寄与している。ヒトの腸内細菌叢の異常はdysbiosisと呼ばれ、炎症性腸疾患や過敏性腸症候群、メタボリック症候群、喘息、心血管疾患など種々の疾患との関連性が示唆されている。また、dysbiosisの原因として、抗菌薬やプロトンポンプ阻害薬などの薬剤だけでなく、欧米型の食事、環境因子など種々の要因が考えられている。日本人の腸内細菌叢は他の国と比較し生体に有益な機能を有していると報告されているが、ここ数十年で炎症性腸疾患の患者数が爆発的に増加しており、欧米型の食事パターンとの密接な関連性が示唆されている。腸内細菌叢は食事内容の影響を大きく受けるためdysbiosisの原因となるライフスタイルを避ける必要がある。本稿では腸内細菌叢の機能やdysbiosisがどのような要因で生じるのかについて解説を行う。

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© 2018 日本静脈経腸栄養学会
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