日本静脈経腸栄養学会雑誌
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伝統は革新の上に建つ ! –JSPENの過去と現在から未来を想う–
東口 髙志
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2019 年 34 巻 5 号 p. 320-328

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抄録

1970年に完全静脈栄養研究会が、1977年には成分栄養研究会が設立され、これらが私達の学会『一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会(2020年1月1日より日本臨床栄養代謝学会と改名):Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition;JSPEN』の最初の湧き水となった。この2筋の流れが1本となり、1998年には日本静脈経腸栄養学会となった。その後、TNTプロジェクトとNSTプロジェクトが発足し、JSPENは活き活きと活動する暴れる渓流となった。栄養管理実施加算とNST加算が承認され、2013年の法人化の際には会員数20,000名を超え、遂に大河となった。しかし、このままでは単に臨床栄養を実践する態勢を構築したに過ぎず、超高齢社会・日本を担うに相応しい確固とした栄養管理体制を構築することが求められるようになった。そこで「内固」として栄養療法に関する教育施設認定や各職医療スタッフの認定と質の向上、NSTの普及による栄養療法普及の実践、NST認定システムの確立などを全国的に展開。世界に向けても「外進」し、世界から大きな注目を浴び、すでに目指される立場となった。この先、最も必要となるのは、「世界に誇れるJSPENの伝統」である。多くの先輩諸氏から未来を担う若き力が繋がって、すべての方々に栄養を届けることができる、滔々と流れる巨大な大河にならねばならない。『変わらぬものは生き延びられない』これは人類が歩んできた歴史の教訓である。革新を繰り返していくこと、これが私達の常に求められている姿であり、『伝統は革新の上にこそ建てることができる』のである。

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© 2019 日本静脈経腸栄養学会
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