体力科学
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運動の無機質代謝に及ぼす影響
II.女子大学生スキー合宿訓練時における尿中無機質排泄量の変動
渡辺 孝男金子 勇島田 彰夫加美山 茂利高橋 英次
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1972 年 21 巻 2 号 p. 99-106

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抄録
M女子大の学生スキー合宿訓練において女子学生を対象として, 運動負荷による尿および尿中無機質排泄量の変動を追跡した。被験者は家政科, 体育科の18~19才の学生各5名である。合宿訓練は標高1, 300mのスキー場 (山形蔵王) で12月下旬乃至1月中旬に行なわれ, 調査は平常通学時と合宿訓練時とについて行なわれた。家政科学生については合宿前日の値をもって対照の平常時値とし体育科学生については合宿終了帰宅後の3日間をもって対照平常時とした。採尿は原則として3時間間隔で全尿を採取した。調査項目は尿量, 尿中クレアチニン, Na, K, P, Ca, Mgでありジ測定方法は第1報1) におけると同様である。
(1) 尿量は合宿時に減少しているが, 日内変動のパターンでは運動負荷後の増大がみられる。
(2) クレアチニンは合宿時の増大および目内変動における運動負荷後の増大をみ, 運動負荷による排泄増大がうかがわれた。
(3) Naは1日排泄量について, とくに家政科学生での合宿時の排泄減が明らかである。日内変動では運動負荷時から負荷後の著明な増大と睡眠時の低下がみられる。
(4) Kは運動負荷による排泄量の増大が明らかである。日内変動の様相はNaとほぼ類似するが, 排泄量増加の時期が他の物質に比して早い。
(5) Pは1日排泄量が合宿時に多くなっている。日内変動では睡眠時の増高, 日中活動時の減少のパターンが平常時, 合宿時にほぼ共通する。しかし, 合宿時の日中排泄減は平常時に比して著しくない。
(6) Ca, Mgはとくに体育科学生で合宿時に排泄量増大の傾向が著しい。日内変動では運動負荷後の増大が顕著である。また排泄増の時期は他の物質に比して若干遅くなっている。
(7) 合宿時の経日的変化を体育科学生について5日間にわたり追跡すると尿量, Na, K, Ca, Mgでは経日的に運動負荷時および負荷後の増大と睡眠時の減少の変動パターンにおいて増減の幅の小さくなる一定した変動傾向がみられた。これらの変動は生体における主要無機質の運動負荷による排泄増への適応化現象とも解釈される。
(8) 家政科と体育科の学生間で尿量, クレアチニン排泄量が後者に多く, またNa/K値の平常時と合宿時での変動幅が前者より後者に小さいのは, 体育科学生について平常時の運動訓練効果を意味しているものと解釈される。
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© 日本体力医学会
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