抄録
健康な柔道部員20~22才の男子5名に6~7分間でオールアウトに到るような自転車エルゴメーター負荷をかけ血液中のアミノ酸の消長を実験した。運動開始後2分の時点でリジンのみが運動前に比べて明らかに増加した。グリシンとプロリンはあまり変化しなかったが, 他のアミノ酸は減少した。オールアウトの運動終了時点で運動前値より高かったのはスレオニン・リジン・ヒスチジンであった。運動終了後30分時点で前値よりも著しく増加したのはアラニンのみであり, リジンも梢々高かったが, 他のアミノ酸はすべて減少した。
運動開始直後2分時点でのリジン増加の起原を中心にして他のアミノ酸消長とにらみ合わせ, 運動ストレスに潜在する危険性について考察した。