体力科学
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都市近郊に居住する日本人とネパール人のMaximal Aerobic Power
大坂 哲郎今野 道勝和田 紀子安永 誠吉水 浩増田 卓二
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1982 年 31 巻 3 号 p. 172-177

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抄録
ヒトの健康の維持・増進に必要なMAPの望ましい値を年齢別に示すとともに, 近代化がMAPに及ぼした影響を明らかにする目的で, 近代化の影響を受けていると考えられる日本の都市近郊住民と, 現在もなお長時間にわたる歩行の習慣を保持しているネパール人の農民を対象に, MAPを加齢との関係から比較した。結果は次のように要約できる。
A.日本人とネパール人の年齢 (X) と体重当たりMAP (Y) との間には, それぞれ, Y=-0.350X+52.121, Y=-0.446X+63.395の関係が得られた。しかし, 両被験者群の回帰式のこう
配には顕著な差があるとは認められなかった。
B.各年齢群別のMAP (平均値) の比較では, 20~40歳代に顕著な差が認められ, ネパール人のほうが日本人より大きい傾向を示した。この両被験者群のMAPの差は, 日本における急速な近代化や都市化の影響である可能性が強いものと思われた。
C.また, 現時点では, ネパール人程度のMAPを保持することが, 工業先進国の集団にも望ましいと考えられたが, ネパール人のMAPと年齢との回帰直線を下回る値を示す日本人の出現率は86.4%であった。
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© 日本体力医学会
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