体力科学
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ラット肝コレステロール代謝に及ぼすトレーニング強度の影響
安部 孝坂元 晃史八田 秀雄板井 美浩浅見 俊雄東 悳彦広田 公一
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1987 年 36 巻 5 号 p. 279-286

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抄録
肝コレステロール生合成に及ぼすトレーニング強度の影響についてしらべた.動物は生後7週齢のWistar系雄性ラットを用いた.トレーニングは週5日のトレッドミル走を16週間にわたり実施した.トレーニング強度は走速度毎分15m (Low持久走群) と毎分30m (High持久走群) の2種類とし, トレーニング中の総酸素消費量が同じになるよう運動時間を設定した.結果は次のようであった.
1) 血清コレステロールはLow持久走群が約14%, High持久走群が約26%低い値を示したが, 両トレーニング群間に有意差はなかった.2) 肝総コレステロールはトレーニングの2群が低下の傾向にあった.3) 肝ミクロソーム画分中のコレステロール量には運動トレーニングによる変化はみとめられなかった.4) 肝ミクロソームHMG-CoA還元酵素活性は両トレーニソグ群で有意な増加を示したが, トレーニング強度の違いによる明確な差異は認められなかった.
以上の結果から, 運動トレーニングは肝のコレステロール合成能を促進させるにもかかわらず血清コレステロール値を低下させる効果をもつが, 運動強度の違いによる明確な差はみられなかった.
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© 日本体力医学会
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