体力科学
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中高年男性の体力年齢の評価
李 美淑松浦 義行田中 喜代次
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1993 年 42 巻 1 号 p. 59-68

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抄録

今日まで, 老化の程度を測る1つの尺度として生物学的年齢 (または生理学的年齢, 活力年齢) が提案され, その推定式が発表されてきた.しかし, 生物学的年齢を推定するために用いられてきた説明変数は著明な老化現象を反映するものの, 主に安静水準における生理的検査から得られたものに限られている.本研究ではVo2max, Vo2@LT, 垂直跳び, 立位体前屈, 伏臥上体反らし, 反復横とび, 閉眼片足立ち, 握力からなるさまざまな行動体力構成要素を説明変数に利用し, これらの一次結合をもってヒトの老化過程を反映しうる体力年齢と定義した.主成分分析を利用して最終的に求めた体力年齢 (47.7±17.5歳) は一般健常者群については暦年齢 (48.0±15.3歳) とほぼ完全に一致したが, CHD患者群では暦年齢57.7±11.5歳に対し, 体力年齢が72.2±12.3歳となり, 両者間に有意差が認められた.また, 作成した推定式の交差妥当性が高いことを認めた.従って, 本研究で作成した推定式より求められる体力年齢は, 中高年男性の体力水準や老化度を評価する上で意義深い情報源になりうると考えられる.

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© 日本体力医学会
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