体力科学
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運動時の環境温度と飲水量・発汗量及び体温に関する実態調査
丹羽 健市中井 誠一朝山 正巳平田 耕造花輪 啓一井川 正治平下 政美管原 正志伊藤 静夫
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1996 年 45 巻 1 号 p. 151-158

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抄録
運動時の暑熱障害事故予防のための基礎資料を得るために, 男子大学生を対象に運動場の環境条件 (WBGT) の実態と, それに伴う発汗量や飲水量及び体温との関係ならびに運動時の水分補給の有無が体温調節反応に及ぼす効果について検討した.得られた主な結果は, 次の通りである.
1.4月から9月までの期間, 同一時刻に練習を行った際のWBGTは4月以降上昇し, 8月に最高値に達した後下降した.
2.自由飲水時の体重減少量は4.8~5.7g/kg・hr-1の範囲にあり, 各月間に有意な差異は認められなかった.
3.発汗量および水分補給量はWBGTの上昇に伴って増大し, 両者の問に高い相関関係が認められた.しかし, 自由飲水時の口内温の変化量はWBGTの上昇にもかかわらず0.52±0.08℃であり, WBGTの増加に伴う変動は認められなかった.
4.運動時の口内温の上昇は水分補給の有無によって異なり, 水分補給の場合で0.62±0.30℃, 非補給では1.09±0.54℃上昇し, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.001) .
5.水分補給の場合の発汗量は10.455±2.272g/kg・hr-1, 一方非補給のそれは8.279±1.271g/kg・hr-1であり, 両者の間に有意な差異が認められた (p<0.01) .
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© 日本体力医学会
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