体力科学
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地域高齢者の歩行能力
―4年間の縦断変化―
杉浦 美穂長崎 浩古名 丈人奥住 秀之
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1998 年 47 巻 4 号 p. 443-452

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抄録
地域在住高齢者の4年間の追跡調査より, 加齢による歩行能力の縦断的変化とその関連要因について検討した.初年度と4年後に同一の歩行テストを行った秋田県南外村の65歳以上の510名を対象とした.これは初年度運動能力検査受診者 (全高齢者人口の78.1%) の69.5%, その4年後生存者の74.8%であった.以下に主要な結果を示す.
1.歩行テストの変数全てにおいて初回と4年後の調査の成績間に有意な相関が認められ, 歩行能力の個人差が維持されることが確認された.
2.自由歩行の速度, 歩幅, 歩行比, 最大歩行の速度, 歩幅, 歩行率, 歩行比の4年間の加齢による低下を縦断的手法でも確認した.
3.加齢による低下のみられる歩行変数で, 4年間の相対的低下率は70歳以上の高齢者で高くなり加齢変化が加速することが示唆された.
4.初年度の筋力, バランス, 手指機能の高い高齢者は加齢による歩行速度の相対的低下率が小さかった.
5.初回調査の最大歩行速度が4年後の死亡リスクと手段的ADLの低下に共通の予測因子であり, 歩行テストの予測妥当性が示された.
われた.本研究の実施に際し, 積極的な御協力をいただきました南外村の皆様, 東京都老人総合研究所地域保健部門ならびに疫学部門の諸先生方に深く感謝致します.
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© 日本体力医学会
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