抄録
本研究の目的は走幅跳の踏切中に発揮される下肢関節トルクと脚動作及び等速性脚筋力の関連を検討するものであった.大学陸上競技部に所属する男子競技者12名を被験者に走幅跳の全助走跳躍を行なわせ, 踏切中の地面反力と動作解析から下肢のキネマティクス, キネティクスデータを算出した.また, 等速性筋力測定装置により膝関節, 股関節の等速性脚筋力を測定した.
主な結果は以下の通りである.
1.踏切足接地時に踏切脚の膝関節角速度を小さくすることで, 踏切中の速度減少率を抑えることが可能であると推察される.
2.股関節は踏切後半局面に伸展するものの, 屈曲筋群の活動により機能的にはブレーキング効果が生じ, 記録に影響を与えると推察される.
3.踏切後半局面において振り上げ脚股関節伸展が大きな伸展トルクを発揮する者ほど跳躍角が小さくなることが示唆された.
4.膝関節伸展筋力が高い者ほど, 踏切中間の踏切脚膝関節角度を大きく保つ跳躍が可能であると考えられた.また, 踏切中間で踏切脚の膝関節角度が大きく保たれる場合, 踏切後半局面で踏切脚膝関節伸展トルクが小さくなることが考えられた.
5.股関節伸展筋力が高い者ほど, 中間から後半局面において屈曲トルクを示した.
走幅跳の踏切においては, 踏切脚の膝及び股関節伸展筋力を高めること, また踏切脚の股関節トルクが記録に影響すること, 踏切後半局面で振り上げ脚股関節伸展トルクが大きい者は跳躍角が小さいことが考えられた.