抄録
十二指腸静脈瘤は門脈圧亢進症に合併する比較的稀な異所性静脈瘤であり,その治療の要否,治療法の選択について未だ明確なものはない.今回,十二指腸静脈瘤に対して内視鏡的にクリッピングを行った2例を報告した.症例1は48歳,男性,アルコール性肝硬変.十二指腸静脈瘤出血に対しクリッピングを施行し,その後,バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration: B-RTO)で治療した.症例2は72歳,女性,肝硬変(自己免疫性肝炎).食道静脈瘤出血に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(endoscopic variceal ligation: EVL)を施行,同時に十二指腸静脈瘤を認めたため,予防的にクリッピングを施行した.静脈瘤は消退し,内視鏡的に7カ月の経過を観察したが,明らかな増大を認めなかった.クリッピングは穿孔の危険が少なく,低侵襲かつ追加治療も容易であり,十二指腸静脈瘤に対する予防的治療法の1つとして成立する可能性がある.