日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
門脈大循環短絡による肝性脳症に対する外科的治療
─IVRとの融合による正しい治療選択─
末永 昌宏高見 秀樹
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2014 年 20 巻 4 号 p. 194-201

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抄録
反復する肝性脳症に対する治療は門脈血中アンモニアが大循環系に多量に排出しないよう短絡路の遮断を要する. 本邦では1970年代からHassab手術を含む胃腎静脈短絡路遮断が行われ, 上腸間膜・下腸間膜静脈から下大静脈への短絡の遮断術も報告されてきた. 門脈圧亢進下の手術で静脈を損傷しない丁寧な剥離操作を必要とするが, 直視下に供血側から排出側まで短絡路を確実に遮断できる. 高度肝障害例が多く手術適応基準の決定は難しい. 短絡によって影響されるICGは信憑性に乏しく, Child A, B症例の手術成績は良好であり, PTを加えたChild-Pugh分類A・Bが適応と考える. PTOやB-RTOなどのIVRの著しい進歩により, 胃腎静脈短絡症例は一部の症例を除いて治療の第1選択となる. しかし上腸間膜・下腸間膜静脈から下大静脈への複数の短絡路が存在するような症例では治療困難で, 可能であれば手術を行った方がよいと考える.
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© 2014 日本門脈圧亢進症学会
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