日本門脈圧亢進症学会雑誌
Online ISSN : 2186-6376
Print ISSN : 1344-8447
ISSN-L : 1344-8447
原著
脾機能亢進症を伴うC型肝硬変に対する部分的脾動脈塞栓術後のインターフェロン治療の成績
加藤 慶三島田 紀朋井家 麻紀子佐藤 祥之塙 紀子米澤 健立花 浩幸
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 20 巻 4 号 p. 202-212

詳細
抄録
脾機能亢進症を伴うC型肝硬変に対して, 部分的脾動脈塞栓術(PSE)施行後にインターフェロン(IFN)ベースの治療をした39例を対象にその成績を解析した. PSEにより血小板数(Plt), 白血球数は増加し, IFN治療が全例可能となった. Transient virological response(TVR)/sustained virological response(SVR)率は53.8%(21/39)/37.8%(14/37)であった. TVRに寄与する因子は, 単変量解析で, 年齢≦62歳, Plt≧8.3×104/μl, AFP≦18.4 ng/dl, IL28B(rs8099917)TT, テラプレビル治療であった(各々p=0.017, 0.023, 0.038, 0.048, 0.049). さらにSVRに寄与する因子は, コリンエステラーゼ(ChE)≧180 U/l, IL28B TT, Plt≧8.3×104/μl, アルブミン≧3.8 g/dl, 年齢≦61歳, ICGR15≦30.5%であった(各々p=0.003, 0.005, 0.014, 0.022, 0.031, 0.048). TVR例ではアルブミンやChEが上昇し, AFPが減少した. またNon-virological response例に比して累積肝発癌率が低い傾向があった(p=0.073). PSE後にIFNベースの治療でTVRが得られた症例では, 肝予備能の改善や肝発癌が抑制されることが示唆された.
著者関連情報
© 2014 日本門脈圧亢進症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top