抄録
症例29歳女性.正常分娩後,産褥18日目より心窩部痛が出現し,拡張した門脈内に構造物を指摘され当科紹介,腹部超音波,CTによる画像診断にて門脈瘤に合併した門脈血栓症と診断.ワルファリンカリウム,ヘパリンによる抗血小板療法,抗凝固療法を開始.開始34日目には,cavernomatous transformationの発達を認め,118日目には血栓の縮小傾向を認めた.妊娠時には血栓塞栓症は発生しやすく,門脈血栓の合併の報告は少なくはないが,分娩後産褥期に門脈瘤に合併し血栓症を認めたという報告はなく,非常にまれな症例と考えられるため報告する.