2018 年 24 巻 4 号 p. 224-230
【目的】肝硬変合併門脈血栓症に対し,Xa阻害剤edoxabanの有効性,安全性についてwarfarinと比較検討を行った.
【対象と方法】肝硬変合併門脈血栓症64例.ダナパロイドNaを2週間投与後,warfarin 30例/Xa阻害剤34例に対して溶解療法施行した.門脈血栓評価は開始前,ダナパロイドNa投与終了時,6か月後にdynamic CTにて血栓volumeを測定した.
【結果】warfarin群での治療開始前,ダナパロイドNa投与後,6か月後の血栓volume変化は3.7 cm3,1.4 cm3,2.7 cm3であり溶解療法中にもかかわらず6か月後には有意に血栓増悪を認めた一方,Xa阻害剤群での血栓volume変化は3.8 cm3,1.7 cm3,0.4 cm3であり6か月後も良好な縮小効果を示した.6か月後の血栓溶解奏功に寄与する独立因子はXa阻害剤投与であった.warfarin投与群では2例(7%)が食道静脈瘤からの出血を認め,Xa阻害剤投与群で4例(12%)が下部消化管出血をきたした.
【結語】肝硬変合併門脈血栓症に対するXa阻害剤edoxabanによる溶解療法はwarfarinに代わる薬剤として血栓溶解効果が期待できる可能性が示唆された.