2021 年 27 巻 4 号 p. 266-270
非代償性肝硬変に伴う肝性脳症による再入院率や生存率に関して検討した.2009年1月から2017年6月までに初発の肝性脳症の入院加療を要した85例を対象にした.年齢(中央値)は73.7歳,男性42例,Child Pugh grade C 64例,肝細胞癌治療中29例,観察期間の中央値は178日間であった.初回入院中に14例が死亡した.退院した71例において,51例が肝性脳症再発により再入院を要し,累積再入院率は1か月で27.4%,3か月で45.8%であった.肝性脳症再発による再入院に関与する因子に関して,単変量解析ではChild Pugh 12点以上(p=0.007),肝細胞癌治療中(p=0.04)が抽出され,多変量解析ではChild Pugh 12点以上が有意な因子であった(p=0.005).累積生存率は1年49.7%であり,肝細胞癌の症例において予後が不良であった(p<0.001).