2022 年 28 巻 1 号 p. 7-10
NASHでは,循環中の単球が肝臓に遊走して複数のマクロファージ集団を形成し,炎症・線維化の進展に関与する.そこで,筆者らは,肝臓由来シグナルによる単球のリプログラミング機構の解明を試みた.肝類洞における肝臓マクロファージの分化には,Notch-RBPJシグナルおよびTGF-β/BMP-SMADシグナルの活性化と,肝細胞由来の内因性LXRアゴニストが必要と考えられた.また,NASHにおいては,クッパー細胞のエンハンサー活性の変化と,新規に肝臓に誘導された単球の肝臓の微小環境依存的なクロマチンリモデリングにより,異なる遺伝子発現を示す4つのマクロファージ集団が形成されることが明らかとなった.つまり,NASHにおける疾患特異的なマクロファージは,単球・マクロファージがニッシェ特異的にリプログラミングされることで出現すると考えられた.