2022 年 28 巻 1 号 p. 87-91
ミニマル肝性脳症と診断された肝硬変患者7名とミニマル肝性脳症のない肝硬変患者14名に3.0 tesla(T)1H(proton)-magnetic resonance spectroscopy(MRS)を施行し脳内のグルタミン,ミオイノシトールの信号強度を測定,さらに肝重症度,血液アンモニア,肝酵素との関連を検討した.2群間において肝硬変重症度,血液アンモニア値,肝酵素に有意差は認めなかった.
MHE群ではグルタミンは非MHE群と比較して有意に高値であり,一方ミオイノシトールは有意に低値であった.このことからMHE患者においてもすでに顕性肝性脳症と同様の脳内物質代謝異常が発現していることが明らかになった.この現象をMRSで定量的に捉えることが,MHEの早期かつ客観的診断につながる可能性がある.