先天性門脈大循環短絡(CPSS)は,門脈血が直接体循環に流入することで肝性脳症,肝肺症候群,門脈性肺高血圧症,肝腫瘤などさまざまな症状を来す疾患である.当院で2021年12月までに治療を行った49症例を対象に,治療予後について検討した.治療後観察期間の中央値は5年.随伴臨床症状は肝肺症候群を15例に,門脈性肺高血圧症を8例に,肝腫瘤性病変を17例に認めた.治療時年齢の中央値は4歳で,血管内治療を24例,外科的結紮・遮断を17例,肝移植を7例,肝切除を1例に施行した.治療後,肝肺症候群は15例中13例に改善を認めたものの,門脈性肺高血圧症は8例中1例が改善したのみで,3例に関しては治療後も悪化した.肝腫瘤性病変は17例中3例(限局性結節性過形成2例,肝細胞腺腫1例)が治療後も残存した.CPSSに対する治療は有効であるが,一部の随伴症状は治療後も改善が乏しく,適切な治療時期と方法の検討が必要である.