2022 年 28 巻 4 号 p. 291-298
Budd-Chiari症候群は肝部下大静脈および肝静脈の閉塞・狭窄により門脈圧亢進をはじめとする症状を呈する一連の症候群であり,本邦では比較的稀な疾患である.治療法は静脈瘤に対し内視鏡治療や血栓形成に対し内服療法など保存療法が行われる他,閉塞・狭窄の解除に対しInterventional Radiology(IVR)による治療が行われる.これら治療に対し抵抗性,難治性を示す場合は根治的治療として肝移植が考慮される.バルーンやステントを使用するIVR治療は低侵襲でありながら,肝静脈や下大静脈の狭窄・閉塞を直接治療することで,生理的な血流動態に改善させることから,その有効性が報告されている.また門脈圧亢進による種々の病態に対しても治療介入が可能である.本稿ではBudd-Chiari症候群の概説および画像診断を紹介し,当科で施行した実際の症例提示を踏まえ,IVR治療に関する成績などを紹介する.