日本門脈圧亢進症学会雑誌
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症例報告
門脈圧亢進症を伴った進行S状結腸癌に対し,一期的腹腔鏡下S状結腸切除術とHassab手術を施行した1例
平井 博和砂子阪 肇田丸 雄大杉田 浩章波佐谷 兼慶青柳 裕之
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2022 年 28 巻 4 号 p. 299-304

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抄録

【背景】肝硬変症は出血傾向を呈し,観血的手技の際に問題となることがある.今回,血小板減少と食道静脈瘤出血を繰り返す原発性胆汁性胆管炎と高度腸管狭窄を伴う進行S状結腸癌に対し,Hassab手術と腹腔鏡下S状結腸切除術を一期的に施行した1例を経験したので報告する.

【症例】70歳女性.原発性胆汁性胆管炎と再発性食道静脈瘤出血で通院していた.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性に管腔を占拠する40 mm大の2型大腸癌を認めた.血液検査で血小板は8.9×104/μlと高度に低下を認めた.周術期の出血や術後縫合不全のリスク低減を目的にHassab手術とS状結腸切除術を一期的に行った.術1日後より尿量低下と軽度の胸水貯留を認めたが,利尿剤により改善した.術7日後には血小板が29.4×104/μlまで上昇し退院した.

【結語】一期的な手術により周術期リスクの低減につながった1例を経験した.

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© 2022 日本門脈圧亢進症学会
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