2023 年 29 巻 4 号 p. 220-226
JAK2遺伝子変異は骨髄増殖性疾患と関連があり,本態性血小板血症(ET)も含まれる.今回,JAK2遺伝子変異を合併した肝外門脈閉塞症(EHO)と特発性門脈圧亢進症(IPH)の2例を経験したので報告する.症例1:EHOおよび食道胃静脈瘤と診断された.抗凝固療法で改善を認めず,バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)は適応外と判断され,腹腔鏡下胃上部血行郭清術,脾臓摘出術を施行した.術後18か月目に血小板高値を認め,JAK2遺伝子変異陽性の本態性血小板血症(ET)と診断された.症例2:食道胃静脈瘤,IPHと診断された.BRTOは適応外と判断され,腹腔鏡下Hassab手術を施行した.術後血小板上昇を認め,JAK2遺伝子変異陽性のETと診断された.EHOやIPHなどの門脈血行異常症にETが合併することがあり,ETの合併が判明した場合には門脈を含めた血栓予防に留意する必要があると考えられた.