日本門脈圧亢進症学会雑誌
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総説
肝外門脈閉塞症の病態:骨髄増殖性腫瘍の関連について
清水 哲也吉田 寛谷合 信彦松下 晃吉岡 正人川野 陽一上田 純志室川 剛廣大野 崇吉森 大悟春名 孝洋濵口 暁賀 亮
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2025 年 31 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

肝外門脈閉塞症(EHO)の原因としては,血管形成異常や骨髄増殖性腫瘍(MPN),抗リン脂質抗体症候群などがあるが,最も多い原因はMPNとされ約30%を占める.MPNにはJAK2CALRMPLなどの遺伝子異常があり,血球の無秩序な増殖を来すともに血栓化の原因となっている.JAK2V617F変異は,MPNである真性多血症の90%,本態性血小板血症や骨髄線維症の60%に認められ,本遺伝子変異の確認は背景にあるMPNを見落とさない方策となりうる.門脈圧亢進症による脾機能亢進症にも関わらず白血球・血小板数低下のないEHOはMPNを合併している可能性が高い.EHOの予後には,消化管静脈瘤の出血コントロールが重要とされる.しかしながら,MPNを合併したEHOでは,繰り返す消化管出血と血栓性合併症のジレンマに直面することとなり,確実な出血管理と抗血栓療法を行うことが肝要である.

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